重い思い。引きずんじゃねえよ、オレ。コーチもね。
イヤな、予兆は、あったのよね。コーチに謝んなきゃいけない。
試合の2日前。いつものように、朝5時半の「朝走」に出発する前のこと。「パパ、今日は投球練習するけんね」と言ってきた。いつも、2日前は遠投だけ。投球練習は、前の日なのに。投げたいんだろうなあ、焦ってるんだろうなあ、と思ったら、案の定だった。
2キロ走って、ラジオ体操もして、場所を公園のゲートボール場に移して、さあ第1球。ボールは、はるか上を超えていった。その後もバラバラ。投げたい、投げたいで、体ばかり早く開いて腕がついていってない。それでも投げたいもんだから、球離れが早すぎる、で暴投の繰り返し。「我慢しろ、早いんだよ」って言ってみても、治んなかった。最後は置きに来た、ど真ん中の直球を投じて「パパ、やめよ」。自分でも、もどかしかったんだろうなあ。周囲の期待にこたえなきゃ、早く投球練習をして試したい、でも思うようになんない。「大丈夫、球はきてんだから」。必死に助け舟を出そうとしたが、その言葉も、救いにはならなかったようだ。
その夕方、カミさんから、仕事場のわたしにメールがきた。「夕方、公園にいって300球投げたんだって。フォームも変えたんだって」。カミさんは、何で300球も。フォームも今かえてどげんするん、なんて言ったらしい。さらに「コーチに伝えるから」と言うと、「言わんで」と泣き出したらしい。投げずには、いられなかったんだろうなあ。思いのほか、プレッシャーを感じてたようだ。
わたしは、心配でしようがなかった。300球も。ひじや肩は、痛くないのか。
土曜日の朝、また走った。家を出る前に聞いた。「ヒジ、痛くないか。肩は大丈夫か」。「大丈夫」と言うので、300球のことは知らないふりをして、「軽くキャッチボールするか」と聞くと「うん」と言うので10分ほど。終わると、三男が、わたしに話した。「昨日、少しだけ、公園で投げたんバイ」。「投げた、って、1人でか」。「うん」。「フォームも変えてみた。右足を真っすぐ出しとったやろ。それじゃあ、スピードが乗らないって言われて、ひざを曲げて、左足に絡めるようにしてみた。低めに決まっとったバイ」。「そうか、で、少しって、何球ぐらい?」少し間があって答えた。「1試合ぶんぐらいかな」。
自分でも、いけないことをしたって、わかってるんだな。でも、責められはしなかった。「やり過ぎは、ダメだぞ。肩やひじを壊すと、元も子もなくなるぞ」。そう言うのが精いっぱいだった。でも、わたしに話したことで、少しは吹っ切れたようだから、思いつめた表情がなくなって、一安心してたんだけど。
昨日の試合は、重そうに投げてたもんなあ。さらに、審判との呼吸も合わなかった。味方とのリズムも取り戻せないまま、気がつけば9失点。2回2死から、ようやく本来の投球スタイルを取り戻したけど、そこまでの失点は、あまりにも、大きすぎた。
でも、4回コールドなんてルールは、ないよなあ。知らなかったから、あっけに取られた。わがチームは、最終回の2死から、8点差を逆転したことも、あるんですよ。親ばかかもしれないけど、そこから先は「0」で抑えただろうから、せめて、6回までは、やって欲しかったなあ。
今回は、完全な調整の失敗です。前回、会心のゲームをして、周囲は浮かれてたんだけど、当人は、相当の重圧を感じてたんだ。それを分かってもやれず、期待の言葉ばかり口にしてた。その言葉がさらに重圧を呼び、さらに重圧を、取ってやることもできなかった。親の責任です。ごめんなさい。
さきほど、仕事を終えて、2時半に家に帰ると、中間試験前の中3長男は、まだ勉強をしてた。筆を止めたので、聞いてみた。「(三男の様子は)どうだった?」「審判とか、味方のエラーとか、いろいろ言ってたけど、調子も悪かったって。自分が悪い、って言ってたよ。でも、次のリーグ戦は、大丈夫だって」。切り替えたか。何よりの救いだ。
今、外は、雲ひとつない、気持ちのいい青空です。今日は、三男の大好物の、もつ鍋にでも、してやるか。いつもなら、走ってる時間だ。
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